1.個人としての利益相反のマネジメント・システムの考え方

個人としての利益相反に関するマネジメント・システムの基本的考え方は、第一に、個人的利益に関して透明性を確保することであり、第二に、問題の生じる可能性のあることについて事前に予防措置を取り得る体制を整備することです。そして、第三に、そこで適用される単純で明快なルールをあらかじめ決めておくことです。
また、これらのマネジメント・システムについては、学内の職員等に対して十分な啓発活動を行うとともに、状況の変化に対応できるよう、随時見直しを行うことも重要です。

2.個人としての利益相反のマネジメント・システムの枠組み

利益相反マネジメント・システムのポイント 利益相反マネジメント・システムの枠組み図

3.個人としての利益相反のマネジメント・システムの内容

(1) 金銭的情報に関する報告義務

職員等は、毎年5月中に、前年度の1年間(前年度4月1日から3月31日まで)に、企業等から受けた特定の金銭的利益について、所属長を経由して学長に対して報告しなければなりません。なお、この報告義務の対象には、職員等本人のみならず、その配偶者及び生計を一にする2親等内の親族が特定の金銭的利益を受けた場合も含まれます。

【報告の対象となる特定の金銭的利益について】

個人としての利益相反ポリシー6.(2)「金銭的情報に関する報告義務」(PDF)に規定する特定の金銭的利益とは、以下のア及びイの二つの条件にともに該当するものをいいます。

  •  金銭的利益を得た対象の企業等が次のいずれかに該当すること。
    • (ア)筑波大学の研究成果の移転を受けたことがある(当該年度を含めて過去10年間に移転を受けた企業等)。
    • (イ)筑波大学と共同研究、受託研究、学術指導、寄附金などにおいて契約関係がある(当該年度を含めて過去3年間にこれらの関係があった企業等)。
    • (ウ)筑波大学から出資又は人的及び技術的援助を受けている(出資については株式等保有も含む。当該年度を含めて過去10年間にこれらの関係が有った企業等)。
    • (エ)筑波大学に対して、物品又はサービスを提供する関係にある(当該年度を含めて過去3年間に提供した企業等)。
  •  上記アの企業等と次のいずれかの関係にあること。
    • (ア)上記アの企業等から得た兼業の金銭的利益又は研究成果の実施料若しくは売却の金銭的利益の合計が年額100万円以上である(国立大学法人筑波大学職務発明規程(PDF)に基づき本学により配分される実施補償金を除く。)。
    • (イ)上記アの企業等の株式等(株式が未公開か公開かを問わない。ただし、公開株式にあっては、発行済み株式総数の5%以上に相当する場合に限る。また、新株予約権、合同・合名・合資会社を包含する持分会社の持分等を含む。なお、当該年度前に取得した株式等を含む。)を保有している。

本学規則では、筑波大学と契約関係にある企業等から、兼業等の個人的な利益を得ている場合が自己申告対象となっています。このような関係の企業等から個人的な利益を得た場合、年間「合計100万円以上であるとき」が自己申告の対象となります。例えば大学と利害関係のあるA企業から70万円、同様な状況のB企業から40万円を得た場合のように、関係企業から合計年間110万円受領している場合には自己申告書の提出が必要になります。

(2) 職員等から提出された金銭的情報の記録・保存

職員等から提出された金銭的情報については、所掌する利益相反・輸出管理マネジメント室において、適切に管理し、記録として保存します。

(3) 利益相反アドバイザーによる事実関係の検討

利益相反・輸出管理マネジメント室に利益相反アドバイザーが置かれています。利益相反アドバイザーは、利益相反に関する企画、調査研究、アドバイス等の支援、普及等の業務を行います。また、職員等から提出された金銭的情報について検討を行います。その際に、必要があると認めるときは、利益相反アドバイザーは、関係する職員等をヒアリングすることができます。これらの調査の結果、利益相反アドバイザーが、特に十分な議論が必要であると考えるときは、利益相反委員会に報告し、そこでの審議を受けることになります。

(4) 利益相反委員会の設置

ア 利益相反委員会の組織
利益相反・輸出管理マネジメント室に、利益相反に関する事項を審議する機関として、研究担当副学長を委員長とする利益相反委員会を設置します。利益相反委員会の構成は、次のとおりです。

【利益相反委員会の構成】
委員長 研究を担当する副学長
副委員長 人事を担当する副学長
委員
  • 1) 利益相反・輸出管理マネジメント室長
  • 2) 各系長及び附属病院長の推薦に基づき学長が指名する大学教員 各1名
  • 3) 国際産学連携本部本部審議役
  • 4) 総務部長
  • 5) 研究推進部長
  • 6) 産学連携部長
  • 7) 病院総務部長
  • 8) 利益相反アドバイザー
  • 9) その他学長が指名する者 若干人

イ 利益相反委員会の職務

利益相反委員会は、利益相反アドバイザーの報告をもとに、関係職員等のヒアリング等を通じ事実関係を把握し、当該利益相反事例が大学として許容できるかどうかを判断します。
大学として、そのような状況を許容できないと判断した場合には、適切な対応策を決定します。対応策の中には、金銭的利益の放棄(株式の譲渡、兼業先の役員辞任等)や、研究プロジェクトへの不参加等の勧告が含まれます。
また、職員等からその判断についての異議が提出されたときは、利益相反委員会は、必要に応じて適宜情報収集を行い、再度検討を加えて新たな勧告をすることもあり得ます。再審査にあたっては、外部の有識者によって構成される利益相反アドバイザリーボードの意見を聞くことが義務付けられています。

(5) 利益相反アドバイザリーボードの設置

利益相反アドバイザー及び利益相反委員会は、いずれも大学内部の職員により構成される組織であり、したがってそこでの判断は、ときには社会一般の見解とは異なったものとなる可能性があります。したがって、外部の有識者で構成される諮問機関として、利益相反アドバイザリーボードを設置します。
利益相反アドバイザリーボードは、利益相反委員会の判定に対する職員等の異議申立てについての控訴審的な役割を果たすほか、学内の利益相反委員会と随時又は定期的に意見交換をするなど、大学自身が利益相反マネジメントの客観性を維持するのを支援する役割を担うことになります。

(6) 責務相反

  • 責務相反の定義
    責務相反とは、職員等が企業等に負っている責任と大学における当該職員等の責任が両立し得ない状況をいいます。したがって、責務相反の前提として、大学における職員等の職務遂行責任の内容を、特に産学連携活動との関連で明らかにする必要があります。
  • 兼業の趣旨
    本学の職員は、特に定めのある場合を除いて、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてを職務及び責任を遂行するために用い、法人の業務にのみ従事しなければなりません。その特に定めのある場合の一つが兼業です。それは、兼業が職員の有する優れた知識や経験を社会のために活用することであり、本学の使命の一つである社会貢献につながるからです。
  • 兼業の制限
    本学の職員は、任命権者の承認を受けて、勤務時間内又は勤務時間外に法人の職務でない職務又は法人の事業ではない事業に従事することができると定められています。ただし、勤務時間内に兼業して報酬を得るときは、当該職員の給与が減額されることがあります。
    なお、筑波大学では、兼業の総従事時間数は、1年間の総勤務時間数の3割を超えないようにしなければならないことが定められています。これは、勤務時間外の兼業にも適用されます。

(7) 外部への説明責任

利益相反マネジメントのために各職員等から提出された情報については、プライバシーに関わる部分は、原則として非開示情報として運用されます。しかし、これら以外の、例えば統計的に処理した情報などについては、利益相反委員会において、毎年定期的に作成し、外部に公表していくこととなります。