利益相反は、大学が社会との連携を深めていく上で日常的に生じ得ることであり、それらを放置することなく適切に対処することは、大学が社会からの信頼を維持し、職員等の名誉を確保していくためには無くてはならない活動です。特に、筑波大学が最先端の研究を推進する世界有数の研究大学を目指す上で不可欠の基盤を成すものといえます。

職員等にとって、個人的利益の報告義務があったり、委員会の審査を受けたりすることが伴いますので負担に感じることがあるかもしれませんが、利益相反マネジメントは、職員等の名誉を守るものであり、安心して研究教育活動等に打ち込める環境を形成することを目指しています。

産学連携活動は、大学が社会からの多様な要請に応えて課題の解決に貢献していくための重要な手段の一つです。

利益相反マネジメントは、決して産学連携活動を抑制することが目的ではありません。むしろ、利益相反マネジメントを十分に、かつ、適正に実施することにより、大学に対する社会一般の信頼を確保し、それによって、産学連携を促進する効果を持つことを期待したものです。

すなわち、個別のケースごとの判断で何事も事なかれ主義で処理していった場合、問題は解消するかもしれませんが、それによってせっかく芽生えつつある産学連携の芽を摘んでしまう可能性があります。したがって、むしろ利益相反マネジメントは産学連携を促進する役割を担うという意識を持って、そこから個別判断を導いてくることが重要であり、産学連携と利益相反マネジメントは、大学にとって、車の両輪の関係にあるとみるべきです。

以上のことから、利益相反マネジメントについては、筑波大学として、全学的な課題として、組織的かつ効果的に取り組んでいくことが求められています。