1.金銭的利益に関する透明性の確保のルール

金銭的利益に関する透明性の確保のルールとは、個人としての利益相反マネジメントにおいては、職員等が外部の企業等から受けた個人的な利益について、特定の条件に該当するものについては、学内で報告の義務を負うこととし、その結果については、個人のプライバシーを侵害しない範囲で、外部に公表していく取扱いをすることです。
このような取扱いをすることによって、大学として、職員等の利益相反の事実関係を把握し、是正措置を取るべきものと、そうでないものを区分し、是正措置を取るべきものについては、必要に応じ利益相反委員会で審議するなどして、しかるべき措置を取っていくことができることとなります。
また、組織としての利益相反マネジメントにおいてもできる限り情報公開に努め、利益相反委員会や利益相反アドバイザリーボードにおける審議結果についても個人のプライバシーとして尊重しなければならない事項を除いて公開することが基本です。

2.意思決定に関する公正の確保のルール

意思決定に関する公正の確保のルールとは、大学と企業等との特別な関係について、そのような特別な関係を持つかどうかの大学としての意思決定を行う際に、当該企業等から特定の個人的利益を得ている職員等が存在するときは、当該職員等をその意思決定に参画させないようにするということです。このような措置を取るのは、仮に、当該職員等を意思決定に参画させた場合に、実際には大学の利益が損なわれることがないとしても、それによって、大学の意思決定の公正に対する社会的信頼が揺らぐ可能性があるからです。

3.職務の責任に応じた取扱いに関するルール

大学の職員等の中でも、特に大学の意思決定に参画し得る立場の者や産学官のリエゾン活動を職務としている者については、他の通常の職務に従事している職員等に比較して、利益相反に関して重い責任を負っているといえます。
したがって、各職員等からの報告に基づいて利益相反に関する対処方法を検討するに際しても、他の一般の職員等であれば問題のないような事柄でも、これらの職員等については、場合によっては、利益相反関係の解消を求めることがあり得ることになります(例えば、株式の譲渡や、兼業先の役員辞任等)。

4.組織としての利益相反への対応

大学自身の利益については問題が生じた場合は深刻化しやすく、上記ルール(透明性の確保、意思決定時の配慮、幹部職員の対応等)を基本姿勢とした対応が必要となります。